事例

自動車用テストベンチ冷却水ポンプ(24時間365日監視)

グルンドフォスは、BMW M エンジンのテストベンチ用冷却水回路において、グルンドフォスのマシンヘルス (GMH) システムが、ユーザーのニーズに応える予知保全を実現できることを証明しました。システムはポンプの運転状態を監視し、最小の偏差に反応し、発生し得る課題に対する有効なソリューションを含む詳細な分析を提示します。

  • テーマ:予知保全(GMH) 

  • 場所:ミュンヘン (ドイツ)

  • 顧客:BMW M GmbH

概要

熟練の技術者が音を立てるエンジンに近づき、慎重に耳を置け、しばらくその状態を続けた後「バルブが摩耗している」と判断を下す、という光景は以前は賞賛されるものでした。しかし、それは過去のものです。

日々の検査中に将来起こり得る機器の損傷について、音を聞いて感覚的に判断をするという技術者は、ほとんどの企業では見られなくなりました。機器が利用出来なくなる前に故障を早期に検出するには、センサと賢明な診断が必要です。データベースおよび人工知能(AI) がサポートする予知保全は、X 線画像と同じように以前は隠されていたものを認識できる可能性をオペレータに提供します。予知保全により、製品、設備、システムのコストパフォーマンスがさらに向上します。

ターゲットを絞った機器の故障防止

GMH は、世界最大のデータベースへ集積された機器の稼働音や振動プロファイルに基づき、非常に正確な診断を実施します。さらに、機器データは適切な修理と予知保全を提案するリアルタイムメッセージとアルゴリズムによって機器の故障の可能性を大幅に低減することができます。

高品質のセンサとスマートアルゴリズムは、24 時間体制ですべての重要なデータ項目を監視し、異常の兆候を見て、詳細な分析でユーザに報告します。機器の状態にわずかな変化があっても、慎重に監視され、対策に向けた具体的な提案と簡単に理解できるメッセージという形で伝えられます。

グルンドフォスマシンヘルスは、技術の可用性に対する信頼性の向上 や、定期メンテナンス作業及び予期せぬ故障によるダウンタイムの回 避などのメリットをユーザへもたらします。

エンジンテストベンチ

BMW M はドイツ・ミュンヘンを拠点とする高性能自動車メーカです。モータースポーツにインスパイアされた独占技術を装備したBMW M自動車は、機敏性、ダイナミクス、パワーに対する最高の要求に応えています。

BMW M の特に強力なエンジンによって基礎が提供され、これを専門家が最初にコンピュータ上で設計し、テストベンチでテストして最適化します。これらのテストベンチは全てのエンジンの周辺機器をテストします。その目的は、テストベンチでさらに良好な実際の運転条件を予測することです。

そのため、少なくともテストベンチが過熱しないよう、再現可能なデータを提供するために、テスト機器は冷却水によって適温に保たれています。グルンドフォスポンプは、建屋屋上に設置された再冷却プラントを含む、冷却システム全体を稼働させ続けます。採用されたのは5 台の片吸込みポンプNK シリーズと3 台の立形多段うず巻きポンプCR シリーズです。

サービスとしての診断

サービスとしてのグルンドフォス診断プログラムは、以下の3 つの主要な要素で構成されています。

  • 接続: センサは回転装置のデータ( 振動、表面温度等) を収集し、クラウドベースで分析するためにこの情報を継続的に転送します。
  • 診断: グルンドフォスマシンヘルス(GMH) は、機械学習アルゴリズムとともに収集されたデータセットを分析して、使用可能な結果を決定します。
  • 最適化: これらのデータは、グルンドフォスの Web ベースのプラットフォームとユーザ定義のアラートの両方を使用して伝達されます。これにより、機械関連の問題を解決するために必要な情報がメンテナンス担当者に提供されます。

予知保全による予測の実施

2005 年にこれらのポンプを設置して以来、グルンドフォスは、従来の予知保全サービス契約の一環として、機械分析契約を常に締結してきました。このことは、ポンプの運転状態がある時点でチェックされ、適切なメンテナンスが実施されてきたことを意味します。とりわけ、このサービスにはスペアパーツの定期的な交換も含まれていました。

現在、センサと受信機による機械の永続的な監視(24 時間365 日) の利点を活かして、予知保全は更に進化を遂げています。5 台のNK ポンプにはそれぞれ4 台のセンサと受信機が設置され、3 台のCR ポンプにはそれぞれ2 台のセンサと受信機が設置されています。これにより、合計26 台のセンサまたは受信機が機器の状態を監視します。これらは、2020 年3 月からBMW M で実施されている GMH の基礎を形成しています。GMH に使用するAI アルゴリズムの評価と分析の中心的なパラメータとして、設置されたポンプの振動、エンジンの磁場、エンジンの冷却ファンの温度が記録されています。

GMH はあらゆる関係者にとって満足できるサービスをもたらしました。試運転のわずか数日後、GMH は最初のメンテナンスの推奨事項を提供しました。GMH の重要な特徴は、使用されるデータベースによって、センサと受信機の設置直後からプラントの状態に関する分析を実施することができるという点です。人工知能のアルゴリズムは、データ収集の訓練をする必要はありません。何千ものノイズや振動パターンを、ポンプだけでなく、設置された機器とすぐに比較できます。GMH はコンプレッサーとファン( 回転装置) も監視します。

BMW M のための「安心感」

GMH は、BMW グループのエンジニアリング部門の主要ツールの1 つであるポンプとテストベンチの可用性を大幅に向上させました。運用中にはテストベンチの使用が保証され、メンテナンス担当者は以前より仕事が減るためコストが削減されます。GMH を使用すると、ユーザのポンプの理想的な状態からわずかな偏差があっても早い段階で認識することが出来て、必要なメンテナンス作業を計画的且つ都合の良い時間帯に実施することが出来ます。これにより非常に大きな「安心感」を得られます。

結論

インテリジェントな予知保全ソリューションを提供するGMH により、ユーザは問題が発生する前に対応をし突発的なダウンタイムを回避することができます。 高品質のセンサとスマートアルゴリズムが、24 時間体制ですべての重要なデータ項目を監視します。異常の兆候があると、予想される課題に対する適切な解決策などの詳細な分析を報告します。担当者は、課題解決のための状況に合致した最適な方法で、メンテナンスの予定を組むことができ、コストの削減や想定外のダウンタイムを回避することができます。

グルンドフォスの提供内容:

グルンドフォスは、エンジンテストベンチ用の8 つの冷却水ポンプで使用するために、 GMH をBMW M に供給しました。GMH は、高度な無線センサを使用して機器を継続的に監視します。センサデータはクラウドに保存されAI アルゴリズムによって分析が行われ、ポンプやその他の重要な資産に修理が必要となる、わずかな兆候を発見することが出来ます。

詳細については、当社のグルンドフォス・マシンヘルスサイトを参照してください。https://product-selection.grundfos.com/products/grundfos-machine-health?tab=explore

 

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