概要

電気自動車向け炭化ケイ素(SiC)ウェハーを主力とする半導体メーカーは、ノースカロライナ州にある既存の建物を新たな生産施設に改修することで、持続可能性の向上を目指していました。同社はPureflow社およびグルンドフォスと提携し、革新的な超純水(UPW)およびプロセス用水の回収システムを構築しました。この協業により、施設の水リサイクル目標を上回る成果を上げるとともに、メンテナンスコストの削減にも成功しました。

業界を取り巻く状況:転換期を迎える半導体業界

半導体産業は、スマートフォンから電気自動車に至るまで、現代の生活を支える「目に見えない原動力」です。AI、5G技術、電動化の分野でリーダーとなるための競争が激化する中、世界中の企業がデータセンターや通信インフラ、電気自動車の生産拠点の増設に向け、半導体生産を加速させています。また、半導体業界は製造業の中でも、特に水使用量の多い業界の一つでもあり、生産施設では1日あたり最大1,000万ガロンの超純水(UPW)を使用しています。この業界の年間水使用量は毎年約10%増加すると予測されており¹、平均的な半導体製造工場1か所の水使用量は、人口750万人の都市つまり香港と同程度に達するとされています¹。

1,000万ガロンの超純水(UPW)は、米国の3万3,000世帯が1日に使用する水の量に相当します¹

需要の増加に伴い、半導体業界は、より持続可能な生産手法の確立と導入を急ぐ必要性が高まっています。2023年に実施された半導体企業の経営幹部を対象とした調査によると、73%が、事業運営における最大の環境リスクとして、天然資源、特に水資源へのアクセスを挙げています¹。

課題:ある半導体メーカーの水に関する目標

主に電気自動車のマイクロエレクトロニクス用チップに使用される炭化ケイ素ウェハーを製造する半導体メーカーは、事業の持続可能性の向上を目指していました。ノースカロライナ州に新生産施設を計画する際、既存建屋を活用する必要があったことから、同社は、水使用量の削減と、企業の持続可能性目標の達成に貢献する先進的な設備やプロセスの導入を目指しました。

同社の経営陣は、水の再利用を単なる環境への責任としてだけでなく、資源制約の厳しい業界における競争優位性としても捉えていました。このプロジェクトにおいて、40年以上にわたり純水システムの設計・保守を手掛けてきた純水設備メーカー兼サービスプロバイダーであるPureflow社をパートナーに選定しました。

最適なポンプパートナー:GRUNDFOSの提案

水を大量に消費する製造施設において、適切なポンプの選定は、水リ サイクルシステムを構築する上で不可欠です。浄水およびろ過プロセス のあらゆる段階でポンプが使用されるため、Pureflow社は、効率性と 信頼性を兼ね備えた大容量・高性能なポンプを求めていました。

メーカーが求める性能目標と水のリサイクル目標を達成するた め、Pureflow社は長年のパートナーであるグルンドフォスに協力を求 めました。革新性、効率性、信頼性で知られる、高性能かつインテリジ ェントな水用ポンプの世界的なメーカーであるグルンドフォスのポン プは、20年以上にわたりPureflow社のシステムを支えてきました。こ うした長年の信頼関係と実績により、グルンドフォスは今回のプロジ ェクトにおいても最有力パートナーとなりました。

「グルンドフォスのポンプは、当社のシステムに欠かせない存在です。 それだけでなく、一緒に仕事をするパートナーとしても非常に信頼し ています。」と、Pureflow社のプロセスエンジニアであるスティーブン・ ボールズ氏は語ります。「私たちは常に彼らのチームと密に連携しな がら、最適なソリューションの実現に取り組んでいます。グルンドフォ スは、お客様を大切にする姿勢においても私たちと同じ価値観を持っ ていることを、これまで何度も示してくれました。」

ソリューション:スマートシステムによる持続可能な設計

顧客は、水を可能な限り再利用するため、処理済みの脱イオン水(DI 水)から炭化ケイ素を除去する必要がありました。Pureflow社は、水 の回収率とエネルギー効率の向上を目指して、メーカーの新施設に 合わせて設計された超純水(UPW)およびプロセス用水回収システ ムの設計、製作、導入を行いました。

各ポンプは、個々の性能だけでなく、スマートな制御システムとの親 和性も考慮して慎重に選定されました。グルンドフォスのポンプが備 える高度な機能と信頼性により、Pureflow社のサービスチームは運 転データをリアルタイムで監視し、システムのメンテナンス負荷を最 小限に抑えることが可能となっています。

このシステムは、すべての重要なプロセスにおいて、100% グルンドフ ォスのポンプソリューションを採用して設計されています。グルンドフ ォスのポンプは、上水加圧、RO給水、オゾン再循環、薬液注入および 計量、CIPスキッドの運転、そして製造設備(ファブ)への高純度水の最 終供給まで、幅広い工程で活用されています。ポンププラットフォーム を単一機種群で統一することで、メンテナンス業務の効率化、システ ムの信頼性向上、および長期的な安定稼働を実現しています。

このシステムには、グルンドフォスの3種類のポンプが採用されています。

グルンドフォス CRN 95-1 多段遠心ポンプ

この高性能ポンプは限 外ろ過プロセス用に選定され、微細な膜フィルターを通して大量 の水を搬送するために必要な圧力(最大毎分400ガロン)を供給 します。

グルンドフォス CRN 125-1 多段遠心ポンプ

膜の逆洗行程に使用さ れるこれらのポンプは、装置を洗浄するために必要な出力を備え ています。毎分最大650ガロンを送水可能なCRN 125-1は、その性 能、メンテナンスの容易さ、そして長寿命で知られています。

グルンドフォス DME および DDA デジタル定量ポンプ

処理行程にお いて水の pH および化学的バランスを維持するには、精確な薬液注 入が不可欠です。グルンドフォスのDMEおよびDDAデジタル定量ポン プは、プロセスの各段階で、安定した薬品の供給を確実に実現しま した。

Pureflow社は、グルンドフォスのポンプを組み込んだソリューションに より、信頼性と効率性に優れたシステムを提供するとともに、水の使 用量を大幅に削減することができました。

成果:持続可能性目標の達成

この半導体メーカーは、企業のサステナビリティ目標の一環として、2019年を基準年として、2025年までに水の再利用率を25%向上させるという目標を掲げていました。Pureflow社のシステム設計とグルンドフォスのポンプが大きく貢献し、同社は導入初年度でこの目標を達成しました。 

  • 新しいシステムでは、1日あたり平均18万ガロンの水を再利用しています 
  • ポンプの高い信頼性と迅速なメンテナンスサービスにより、維持管理コストが削減されました 
  • 拡張性を考慮して設計された新システムにより、同メーカー

 

今後の展望:共に未来を築く

半導体メーカー、Pureflow社、そしてグルンドフォスによる協業は、技術革新と環境配慮の両立が大きな成果につながることを示しています。 半導体産業の好調が続く中、製造工程における水の回収のような強靭な事業戦略は、地球の最も貴重な天然資源である水を守るためのますます重要な取り組みとなっています。その実現に向けて、Pureflow社とグルンドフォスは次世代システムの共同開発を継続し、水回収技術のさらなる進化に取り組んでいます。

出典: 
1. James, K. (2024年7月)。「半導体製造と大手ハイテク企業の水問題」。世界経済フォーラム。
https://www.weforum.org/stories/2024/07/ the-water-challenge-for-semiconductor-manufacturing-and-big-tech-what-needs-to-be-done/

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