加圧給水ポンプシステムにおける比例圧力の概要

加圧給水ポンプシステムにおける比例圧力の概要

静的圧力損失よりも動的圧力損失の多い空港、病院、ショッピングモールなどの商業ビルに比例圧力制御は大いに役立ちます。 

多くの温水/冷水システムにおいて、比例圧力の制御モードは推奨されていて標準の制御方法と考えられています。これには納得できる理由があります。HVAC システムでは、パイプ配管、ベンド曲管、コンポーネント設備を構成する機器類からの動的圧力損失のみが配慮されています。この場合、静的圧力損失またはリフト実揚程は無視できます。

商業ビルの加圧給水ポンプシステムにおいては、静的圧力損失よりも動的圧力損失が多く見られるにもかかわらず、定圧圧力一定制御が標準となっています。

このコースでは、加圧給水ポンプシステムにおける比例圧力制御が商業ビルのエネルギー使用消費の節減にいかに有用有効なのかについて説明します。

説明に入る前に、2つに重要な用語 - 静的圧力損失と動的圧力損失  -  を明らかにご説明します。簡単に言いますと、静的圧力損失は流体から独立していますが、動的圧力損失はかなり流体に依拠依存しています。

加圧給水ポンプシステムのサイズ仕様を決定する際、静的圧力損失を判断するため静的な高さ静水頭圧またはリフト実揚程を計算すること、同時に動的圧力損失も計算することが重要です。静的な高さ静水頭圧は、ブースターセット加圧給水システムから最も高いの位置にある水栓まで測定した高さに等しくなります。動的圧力損失は水の使用量に依拠依存します。そのため、水の使用量と流量速が高まった場合、パイプと装置内の動的圧力損失は増大します。流量がゼロのときは、動的圧力損失はありません。

従来より慣例により、商業ビル静的高さがは静水頭圧が大きいため、高層商業ビルの加圧給水システムでは定圧圧力一定制御が使用されています。赤い線で示されるポンプの圧力・揚程は、流量や動的圧力損失にかかわらず一定となっています。ただし、高層ビルであっても比例圧力制御に適応することで加圧給水ポンプシステムを最適化することができます。詳しく見ていきます。

ここで示されるとおり、ポンプが比例圧力制御モードで動作すると、ポンプは流量によって決められる圧力に合うパフォーマンスを発揮します。そのため、大きな静的揚程静水頭圧を有する建物における比例圧力制御モードがもたらすエネルギー節減省エネ効果はさほど大きくなくても、比例圧力制御を使用する価値はあります。

ただし、多くの商業ビルは「高層ビル」のカテゴリに属していません。病院、ショッピング モールや空港などの建物の面積は大きいですが、階数はさほど多く高くはありません。これらの建物は商業用途であるため、明らかに比例圧力制御が推奨されます。 

たとえば空港の場合を考えてみます。通常の空港は、面積は大きいですが高さはさほどではありません。加圧給水の問題になってくると、重要視しなければならないのが静的圧力損失と動的圧力損失の比率であり、空港の場合、高層ビルよりもこの比率を切り替える必要があります。このグラフが示すように、比例圧力制御が建物にとって重要となっており、潜在的なエネルギー節減省エネ効果は相当なものとなります。

もう一つの重要な点は、水圧と水栓における流量です。定圧圧力一定制御モードで動作しているシステムでは、水栓での流量は一定ではありません。実際、システムの全体的な流量が低減したとき、水栓を通過する流量は増大します。これは、水栓が圧力変動に左右されるためであり、この圧力変動は流量に依拠依存する損失であるシステムの動的圧力損失に依拠依存するからです。実例を見てみましょう。

システムの流量が減少した場合です。水栓での実圧力は、100から 200 kPaに上昇し、 水性栓での流量は 0.25から0.33 l/sへと 32% 増大します。すなわち、システム全体の使用量が低減した場合、動的圧力損失も低減します。ポンプ揚程が一定のままですと、水栓での圧力が増大し、その結果、不要な水が浪費されてしまいます。 

一方、比例圧力制御で動作するシステムでは、圧力を必要な分だけ調整できます。従って、システムの流量が減少すると、ポンプの圧力や揚程もそれに沿って減ってきます。このように、水栓での水圧は一定となりどちらかといえば一定されており、その結果、少しの浪費が生じてきます。そこで比例圧力制御のメリットが注目されます。 

実際のところ、比例圧力制御モードには 2 つのタイプがあります。 リニアとスクウェアです。リニア比例圧力制御は、流れに従って比例的にポンプのパフォーマンスを調整することが特徴となっています。他方、スクウェア比例圧力制御は、システムの実際の状態にシミュレートします。この実例では、赤色の領域はリニア比例圧力制御によって得られる潜在的な省エネ効果エネルギー節減を示し、青色の領域はスクウェア比例圧力制御で得られる、さらなる省エネ効果エネルギー節減を示しています。

このように、圧力システムにおける比例圧力制御はリニア、スクウェアともエネルギーと水の節約をもたらします。空港や病院など階数の少ない商業ビルでの省エネ効果は言うまでもなく、どのような商業ビルでも比例圧力制御の節減効果が期待できます。