第4 世代 – 地域熱供給の未来

生産消費者からエネルギー貯蔵まで - 地域熱供給の最新の技術革新について学びます。

このタスクでは、第4世代の地域熱供給と持続可能なシステムの背後にある原則について詳しく見ていきます。

地域熱供給は、1800年代後半に生まれたときより、信頼性のある、コスト効率の高いエネルギーを提供しています。今日、急速な都市化と気候変動に伴う諸問題が顕在化する中、それらを解決に導くカギの1つとして期待されているのが温水と冷水の集中的生産技術です。

しかし、未だ発展段階にある地域熱供給では、これまで研究が集中的になされてきました。この研究は、いわゆる第4世代の地域熱供給(ポテンシャルの大きい革新的なエネルギー・エコシステム)への道を拓きました。この第4世代の地域熱供給と現在のものとの違いは何でしょうか?第4世代の地域熱供給で最も重要な特徴となるのが、低温度給水です。

建物のエネルギー効率化が段々と高まるにつれ、家庭での快適さを損なわずに水の温度を大幅に下げることが可能になります。現在の給水時の温度は通常90°Cですが、第4世代のシステムでは、熱損失を減らすために 50°Cという低い温度に下げることができます。

同じようなことが地域冷房にも当てはまります。すなわち、水温度を約6°Cから 12°Cに上げることができます。この新しい水温にはいくつかの利点をもたらします:

- まず、より少ないエネルギーで加熱、冷却し、その上、コストとCO2の低減する。

- 第二に、供給網において配管を通る際に熱損失として失われるエネルギーが少ない。

- 第三に、配管が熱ストレスをはるかに少なく受けるため、漏洩を防ぎ、設備の寿命を伸ばす。

なお、もう一つの重要な利点があります:それは地域暖房における低温度給水で、これにより、地域熱供給は再生可能エネルギー源のシェアを拡大し、地中熱のような低温エネルギーを利用できます。また、このほか、太陽熱吸収装置、風力エネルギー、工場等からの余剰熱の効率性を上げます。

このように、プラントは持続可能な生産に対応するため現地で利用可能な各種のエネルギー源を利用することができます。また、第4世代の地域熱供給は、長期間にわたり余剰熱を貯蔵することもできます。一般的に、季節による貯蔵、地下のかなり深く隔離されたピットによって、プラントは夏の間は太陽エネルギーを蓄え、冬の間はそれを家庭の暖房向けに使用します。

このような他のエネルギー源をうまく利用することは持続可能性を向上させる上でも重要な方法です。第4世代の地域暖房でもう一つ興味深い点は、生産消費者というコンセプトです。生産消費者はある場所からのエネルギーを消費し、その後、同じ場所にエネルギーを戻してエネルギー生産にも寄与する消費者のことです。

生産消費者を生み出す方法として、建物にソーラーパネルを設置する、エネルギー少量ユーザーからの余剰熱を活用する方法などが考えられます。生産消費者を集約化することで、CO2排出を増大させることなく、グリーンエネルギーの全体的な増加を見込むことができ、また消費者が負担するエネルギーコストを軽減することができます。

このように、生産消費者がもたらす利点によって全世界のエネルギー消費を抑えるという良い機会が生み出されますが、それでも克服しなければならない課題もあります。たとえば、給水の温度を下げると、低温度差 になります。この低温度差 になると、プラントが供給側圧力を上げない限り、給水網末端の家庭に最小の差圧が届かないというリスクが生じます。

しかし、この問題は次のようにダイナミック地域熱供給の方法をとることで克服できます:プラントの強力な供給ポンプのみに依存するのではなく、各家庭に至るまでに広範囲なポンプを使用するダイナミック地域熱供給を活用します。

この方法をとることで、ポンプはより低速で動作し、エネルギーを節約できます。システムは、フルスピードでポンプを運転するのではなく、供給網の小セクションに供給する可変速度ポンプを使用して実際の需要に対応します。

フルスピードでのポンプ運転は、給水網に減圧を引き起こす原因となり、漏洩のリスクを高めます。まとめると次のようになります:第4 世代の地域熱供給はより低い温度で温水を供給し、 より高い温度で冷水を供給することでエネルギー効率性を高めます。

エネルギー使用量とエネルギー廃棄物を削減し、同時に設備の寿命を伸ばし、燃料の柔軟性を向上させます。再生可能エネルギー源、季節による貯蔵、生産消費者、可変速度ポンプの戦略的使用、これらすべて、第4世代の地域暖房が21世紀におけるエネルギー課題の実行可能なソリューションであることを示しています。

コース概要

モジュール
モジュール: 3
完了時間
完了時間: 20 分
難易度
難易度: 中級