グルンドフォスCMシリーズの特長とメリット

4つの主なメリットに焦点を絞りながら、グルンドフォスの遠心モジュラーポンプの基礎知識と、温調装置などの用途での活用方法について解説します。

多くの産業用ソリューションにおいて、ポンプには狭い空間にもおさまる小さなサイズと、大きなポンプに負けない効率の良さが求められます。このような需要にお応えして開発したグルンドフォスの遠心モジュラー (CM) ポンプシリーズは、市場内でもトップクラスのコンパクト設計を誇ります。ですが、CMシリーズの素晴らしさはそのサイズだけではありません。ここではCMシリーズにより深く入り込み、そのメリットについて解説していきます。

まず、CMシリーズについて簡単にご紹介しましょう。CMポンプシリーズは、1m3/hから約30m3/hまでの流量に対応した複数のモデルで構成されており、30m3/hモデルは用途により13barまで圧力を出すことができます。また、加えて標準のCMポンプはインバータ付きのを内蔵したE-ソリューション (CME) も入手できます。CMEポンプは、システム内に設置されたセンサからのフィードバックに基づいて出力を顧客の要求に合わせて調整するため、その結果、消費電力を削減しながらトラブルのないスムーズな運転を保証します。

CMポンプは様々な用途に使うことができます。そのうちの1つが温調装置です。このタスクでは、温調を例に用いて解説を進めていきます。まずはCMポンプのメリットに焦点をあててみましょう。

CMシリーズには主に4つのメリットがあります:信頼性、グローバル使用、コンパクト、カスタマイズです。これから、4つのそれぞれのメリットについて詳しくご説明します。まずはCMシリーズの信頼性を確認するところから始めます。ポンプの故障はメーカーの評判に傷をつけてしまうため、信頼性は何よりも重要です。

うず巻ポンプにおける不具合のほとんどは、シャフトシールからの漏れが原因となっています。温調装置でこのような漏れが起きると、液体がほかの部品に飛沫し、重大なトラブルとなってしまいます。CMポンプは小さなユニットの中で電子部品の近くに配置されることが多いため、そのリスクは低くありません。さらに、こういったユニットに設置されるポンプ構成部品は、急激な温度変化にも対応できることも重要です。そうでなければユニットは簡単に壊れます。

では、グルンドフォスCMポンプはこのような不具合にどのように対処しているのでしょうか?ではシャフトシールが弱点となることが多いため、CMのシャフトシールにはいくつかのスマート機能が搭載されています。まず、固着を防止するためにメカニカルシール固定環に回り止めを施行しました。固着は最悪の場合シールリングを損傷し、漏れを悪化させる原因となります。固定環シールリングは漏れの原因となる不具合を防止することで、空運転時の性能向上にも貢献しています。

次に、グルンドフォスCMポンプのシャフトシールは、ゴム製Oリングではなく摺動部を通して熱を伝達するよう設計されています。これによってOリングを損傷するリスクが大幅に軽減されます。Oリングの損傷は漏れにつながるため非常に重要なポイントです。CMポンプには信頼性を向上させるためのスマート機能がこのほかにも採用されていますが、ポンプ全体の効率向上を図るためのさらなる特徴が搭載されています。そのうちの1つが、CMポンプの三相電動機に追加された回転方向インジケータです。

CMポンプはどちらの方向にも回転することができますが、実は正しい回転方向と誤った回転方向が存在します。誤った回転方向では、正しい回転方向よりも低い圧力しか出力することができません。この問題を防止するため、CMシリーズには三相電動機が正しく設置されるよう、設置インジケータが搭載されています。ポンプが誤った方向に回転すると、インジケータが警告を発します。

では、次にCMポンプのグローバル設計について見てみましょう。

CMポンプを内蔵した温調装置を想像してください。このようなユニットは、世界中のどこでも使うことができるのが理想的です。1つのポンプを世界各国で使えるようにするには、機能面だけでなく強制される法律面も考慮しなければなりません。幸いにCMはこの両方をかなえることに成功しました。複数の電圧から選ぶことができるため、50hzであるか60hzであるかに関わらず、世界中のどこでも使うことができます。

法的な面では、アメリカのcURusとCC認証、中国のCCC認証のように、準拠しなければならないエネルギー効率規則と安全規則がいくつかあります。CMシリーズはこのような規則すべてに準拠しています。

はじめに触れたように、コンパクトであることはきわめて重要です。設計プロセスの初期段階から、CMポンプはコンパクトであることを念頭に置いて作られました。電動機のシャフトがポンプのシャフトを兼用しており、従来型のカップリングが不要になっていることからも、この設計プロセスがうかがえます。また、コンパクトなポンプを温調装置のようなユニットやキャビネットに使用することで、ユニットそのもののサイズも小さくなり、低コストで設置することができるようになります。

最後に、グルンドフォスCMポンプは特定の要求に合わせてカスタマイズできるようになっています。温調装置には、様々な液体が使用されます。グリコール水は温調装置で一般的に使用されており、グルンドフォスではAQQEシールを推奨しています。ですが、このほかにも数種類のシャフトシールとゴム材料をご用意しています。幅広い温度と圧力、液体に対応できるよう、CMポンプはニーズに応じて鋳鉄とステンレス鋼1.4301または1.4401からお選びいただけます。

また、液体に関してCMポンプは低温グリコールのように水よりも重い液体を輸送する場合は、通常よりも  大きな電動機を搭載できるよう簡単に改造することができます。逆に水よりも軽い液体を輸送する場合は電動機を小さくする改造も可能です。

CMポンプのカスタマイズオプションの中で最も目を引くのは、わずか5分以内で最大8メートルの吸上げを達成できる自吸式モデルです。この優れた性能により、水処理や家庭用増圧装置、雨水用途などに適しています。

CM自吸ポンプは、はじめて使用する際には起動する前に使用液体で呼び水を行う必要があります。するとこの液体を利用して空気が排除され、真空が作られます。非自吸式とは異なり、CM自吸ポンプは最初の呼び水の水が貯蔵されるため、一般的なポンプよりも空気に上手く対応することができ、システム内の空気混入や空運転に関する問題が発生しにくくなっています。

では、これまでにご紹介したグルンドフォスCMの主なメリットについて、最後にもう一度おさらいをしましょう。

CMポンプは最新設計のシャフトシールにより、信頼性が高く、不純物に強いポンプ構造となっています。また、様々な電圧・周波数の組み合わせを選択できるほか、海外での使用に必要な認証を取得しており、CMシリーズが世界中で使用することができます。電動機とポンプの摺動部を1つに統合することでよりコンパクトなサイズを実現し、CMシリーズが使用されるユニットの製造費削減に貢献します。そして最後に、各用途の条件とニーズに応じたカスタマイズが可能です。

コース概要

モジュール
モジュール: 4
完了時間
完了時間: 30 分
難易度
難易度: 上級