システムのエネルギー効率を向上させるには

温調システムを例に用いながら、インテリジェントポンプの内蔵機能を活用してエネルギー効率を向上させる方法を解説します。

 産業分野では、複雑なシステム設計や条件に関わらず常に最大速度で運転されているポンプがよく見られます。このようなシステムのデメリットは、消費電力が必要以上に高いという点です – ですが、このままにする必要はありません。  

この個別指導では、インテリジェントなシステム設計によって性能の最適化と大幅な省エネを実現できることを温調の例を用いて解説します。

まずは統計データから見てみましょう。Europumpの行った調査によると、潜在的な省エネ効果のうち30%はシステム制御とシステム設計の改善にあることが示されています。ですが、実際はこれよりも高い省エネ効果を実現することが可能です。これについては個別指導の後半でもう一度取り上げます。

温調は産業分野の幅広いシステムにおいて必要不可欠な要素であり、最適化を行う際には必ず検討したい部品です。温調にかかる運営費は複数の要素によって決定します:

  • ポンプと電動機の効率
  • 制御方法
  • システムのサイズ
  • 負荷プロファイル
  • システム内の圧力損失

この個別指導では、主に制御方法とシステム内の圧力損失に注目したいと思います。

従来、温調システムを設計する方法は2種類ありました。こちらは定速ポンプと温度センサ、そして熱交換器の吐出側の温度を制御する温調弁で構成されています。目的を果たす、シンプルなシステム設計ですが、需要が非常に低い場合でもポンプを定速で運転するため、エネルギー効率が良いとは言えません。

これよりもやや高度な設計になっているのが、定速ポンプの代わりに変速ポンプを使い、差圧センサを追加したシステムです。こちらも十分に目的を果たすことはできますが、温調弁があることで給水配管内で圧力損失が起こるため、ポンプにはより大きな出力が必要となり、エネルギー消費量が増えてしまいます。

では、従来とは異なるアプローチと制御方法を用いることで、よりスマートでシンプルなシステムを構成する方法を見ていきましょう。

これほどたくさんの部品が本当に必要なのでしょうか?答えはノーです。

温度センサをポンプに直接接続すれば、吐出側の温度が一定になるようにポンプの出力を制御することができ、差圧センサや温調弁が不要になります。お気づきになった方もいるかもしれませんが、ここで使われているポンプは2番目の例と同じ変速ポンプです。ですがここではポンプに内蔵されている制御機能を利用してポンプを温度に従って直接制御しています。

こちらのグラフを見てください。例えば流量が10 m3/hの時、緑で示されている直接温調を使ったシステムは消費電力が最も低いことがわかります。

インテリジェントな温調による効果を明確にするために、3つのシステムにおける標準的な負荷プロファイルと性能の違いを比較してみましょう。定速ポンプを使ったシンプルなシステムの節電率を基準値0とします。ご覧の通り、直接温調を用いたシステムはほかの2つのシステムと比較にならないほどエネルギー効率が良く、ポンプの運転にかかる電力を最大70%も削減することができます。部分負荷が最も大きいシステムでは72%の節電が可能です。

しかし、節電率を決めるのは負荷プロファイルです。温調で大幅な節電が可能な理由は、多くのケースでやや大きめのポンプが使用されているためです。つまり、ポンプは性能曲線の最初の3分の1に当たる、効率が最も高い範囲で運転することになります。

このように、システム設計に新しいアプローチを応用し、最適な制御方法を選択すると、確実に資本を回収することができます。システム設計の改善により効率がアップし、大幅な省エネ効果が得られるだけでなく、ライフサイクルコストも削減できるのです。

コース概要

モジュール
モジュール: 3
完了時間
完了時間: 21 分
難易度
難易度: 上級