工業廃水の粒子除去のための限界ろ過を用いたインテリジェントソリューションの利点
粒子除去のため限外ろ過設備を水再利用システムに備えて、インテリジェンスを加えることの多くの利点について確認します。
このモジュールでは、粒子除去が水の再利用において非常に重要な対策で、ほぼすべての水再利用の用途で行われています。粒子除去については、限外ろ過を使用して、また水の再利用システムにインテリジェンスを追加することによって、いかにうまく行うことができるのか説明します。
水再利用プロセスの中核をなすのは、粒子除去を可能にする限外ろ過設備です。限外ろ過の技術は、0.01から0.1マイクロメートルの孔のサイズの膜に対応しています。この技術により、除去しきれなかったすべての粒子と細菌が確実に除去されます。廃水中の有機物、無機物のレベルまたは混合物の状況により、他の処理手順を供給側とろ過側に必要に応じて追加することができます。その後、水は再利用処理プロセスの次の段階に入ります。
限外ろ過設備の供給側と逆洗側をより詳しく見ていきましょう。
ろ過サイクルは、濾過膜を通して前処理された水をポンピングすることによって始まります。限外ろ過システムは、運転中はほとんどろ過モードで動作します。最適なろ過膜の性能を保つには、一定の流れが必要です。一定の流れは速度制御ポンプによって可能になります。不純物や汚れた資材は気孔性を阻害し、膜圧(TMP)が上昇するので、ある時点においては膜を洗浄するために逆洗を行う必要があります。
逆洗サイクルは、限外ろ過済みの水をろ過の流れとは逆方向にポンピングして膜にあるすべての汚れを洗い流すことによって膜を洗浄します。
多くの場合、このサイクルは工程内またはバッチごと(例えば、一定量の水のろ過後)のベースで行われます。また、必要性もないのにすでにろ過された水を使って一定期間内に洗浄が行われるため、この処理方法は効率が良いとは言えません。
これは汚れの度合いにもよりますが、化学的に強化された逆洗は、塩素や酸またはベース溶液などの化学物質を逆洗の流れに加えることによって洗浄の効果を高めます。この処理方法では、処理の効果性だけでなく化学物質使用を減らすためにも精密な使用量が要求されます。
インテリジェントな制御を使用すると、逆洗プロセスの効果が高まります。
空気洗浄サイクルは、膜表面の外側に堆積した微粒子を拡散するために使用されます。
水再利用システムを工業プロセスに備えるという決定をする背景にどのような根拠があっても、システム導入のトータルコストを検討する必要があります。限外ろ過、供給側と逆洗側での処理にかかるコスト、エネルギーコスト、化学薬品、消耗品、人件費、償却費、運転休止時間などを考慮に入れてトータルでコストを算出する必要があります。
以上の要因は、限外ろ過ベースの水再利用システムに対して、よりスマートでインテリジェントなアプローチをすることで最適な状態にすることができます。
例えば、限外ろ過システムの供給側では、圧力、流れ、化学パラメータのセンサーなどのインテリジェントなソリューションが使用されます。
逆洗側でも、圧力、流れ、化学パラメータのセンサーが使用されます。
インテリジェントポンプには、監視と故障予測、流量計、圧力監視の機能が組み込まれています。
PLC、クラウド、モノのインターネット (IoT) ソリューションへのリモート接続により、データ視覚化と予測メンテナンスの サービスが利用できるようになります。
さらに、GrundfosはIoTプラットフォームを介して実行される重要なプロセスを運用するための「デジタルツイン」に取り組んでいます。すなわち、凝結、調整、汚れ、ろ過、逆洗、洗浄のオートアダプティブの制御が可能となります。
Grundfos iSOLUTIONS と呼ばれるインテリジェント アプローチがもたらす潜在的な利点について、以下の参考事例で説明します。
化学的利用の削減:
-デジタル供給ポンプにより、精密な使用量、化学的使用の節減が可能になり、化学物質の使用が最適化されます。
-凝集剤を効率よく使うと、ろ過システムの性能を最適化中に発生するスラッジの量を減らすことができます。
-スケーリングやファウリングのリスクがある場合は。必ずインテリジェントな逆洗機能を実装します。
この方法によって、洗浄プロセスで使用する化学物質と水の量を最適化することができます。
資源のコスト削減:
- 水、エネルギー、化学物質の使用を節約します。
-化学的に拡張された逆洗はシステムの要求に従っています。
- 最適化されたシステムにより、化学物質を的確に管理できるようになります。またERPシステムに対する指示はシステムによって行うことができます。
プロセスの最適化:
-ろ過と逆洗の間隔を最適化する制御により、水とエネルギーを節約するとともにろ投膜の寿命を延ばします。その結果、システムの全体的な効率が向上します。
-原水の品質の変化や変動にかかわらず、システムに組み込まれているインテリジェンスは、動作条件とパフォーマンスを最適化できるよう状況に適応します。
ここで説明した内容をまとめてみましょう:
- 限外ろ過設備は水再利用システムの中核をなしています。
- 限外ろ過設備の供給側とろ過側のシステムを最適化することで導入のトータルコストを削減できます。
- インテリジェントなシステムアプローチにより、凝結、スケーリング、ファウリング、ろ過、逆洗、洗浄の効率が向上し、コストが削減されます。