3相水中モータの保護

水中モータ保護の重要性とその方法について学習します。

モータ保護装置を使うと、水中モータの故障を防ぐことができます。ただし、モータ保護装置を正常に動作させるには、正しくセットアップする必要があります。このモジュールでは、モータが保護されていない場合に起こりうる一般的な問題に焦点を当てて、モータ保護の重要性について説明します。また、モータ保護を最適な状態にするために、グルンドフォスが推奨する方法もいくつかご紹介します。

まず、モータ保護は世界各地の規制と据付基準に準拠していることが重要です。以下は、据付の一般的な事例であるため、必ずしも全ての国において適用できるとは限りません。

また、水中のモータの場合、据付作業はすべて水中で行われるため、その動作に問題があった場合には、再度水中で作業をすることになり、かなりの費用がかかります。そのため、モータ保護に十分な費用をかけることは、長期的に見ると、時間と費用の両方を削減します。選択したモータ保護から最適な結果を得るには、指示に沿って正しく据付を行うことが重要です。以下では、モータ保護を最適化するために非常に重要な3 つのパラメータに注目します。

1. モータ電流
2. 過電圧/低電圧
3.モータ温度

水中ポンプシステムの仕様点、液体密度や粘度を変更した場合、出力の需要が高まり、電力消費が増えることがあります。これはポンプの故障の原因にもなります。仮にポンプロックが起こった場合、電流値が異常に高くなり、定格電流の5~6倍の値になることもあります。この状況でポンプが水を排出しないと、水中モータのエネルギーが急速に蓄積することになり、モータが過熱、焼損する原因となります。

3相の水中モータで、不要な帯熱が発生する他の理由として、電圧の不平衡が挙げられます。電圧の不平衡は通常、欠陥のある変圧器や、商用電源のアンバランスが原因の不均一な負荷など、供給網の問題によって発生します。

モータ保護の初期設定値は出力によって決められています。このデータは、ほとんどの場合お客様の使用環境に適切な設定とは言えません。なぜなら、水中モータは、モータの最大出力まで使用されない仕様点で、稼働する水中ポンプに繋がっているからです。

部分負荷データを取得するには2つの方法があります。グルンドフォス・プロダクトセンターを利用する、またはトリッブが発生するまでモータ保護装置の現在の設定値を下げることで、現在の値を確認できます。次に、不要なトリップが発生しなくなるまで、現在の設定値を上げます。過電流の場合には、水中モータに異常が発生する場合があります。過電圧は、モータ内部を過熱させ、水中モータに損傷を与えるリスクを発生させることがあります。そして最終的にはモータが停止してしまいます。一方、低電圧は通常、延長ケーブルが細すぎることで、電源からモータへの電圧降下が大きくなった場合に発生します。したがって、ケーブルのサイズ選定を正しく行うことが重要となります。

グルンドフォスの水中モータ内は内封液で充水されており、スラストベアリングが備わっています。スラストベアリングは 水の力学的作用により生じた水膜上で動作するため、摩耗することはありません。ただし、この水膜の強靭性は温度によって異なります。水膜がスラストベアリング内で生成されない場合、摩擦を引き起こし急速にベアリングを損傷することがあります。

モータ温度は、媒体温度の上昇、使用液スケール分の堆積、冷却流の不足などさまざまな理由で高くなります。場合によっては、モータに沿って水を強制的に流す冷却スリーブを用いて、適切な冷却流を確保します。この方法は通常、ポンプが貯水タンクまたは大きすぎる井戸に設置されている場合に使います。要求される冷却レベルは、取扱説明書に記載されています。

モータ温度に対する保護レベルは、安定したモータ温度を決定した直後、最初の数日間の運転で設定する必要があります。温度が著しく上昇した場合、ここまでに述べた問題の1つ、または複数が発生している可能性があります。

水中モータの全般的な保護に関しては、従来の方法として、 オーバーロード・リレーがあります。この方法は、過電流回路状態の時間が長引いたことで生じる損傷から、モータを保護します。オーバーロード・リレーは、過負荷状態でかかる時間の長さを定めるトリップクラスによって定格化されています。グルンドフォスの製品で、オーバーロード・リレーを選択した場合、トリップクラスは10以下にする必要があります。オーバーロード・リレーを選択する場合は必ず、相障害監視装置付きが推奨されます。

水中ポンプを保護する最適な方法として、水中モータを保護するために設計されたモータ保護装置MP204を使用します。MP204は、過電圧、低電圧などの電気的問題に対して、保護機能を発揮し、同時に、ポンプ運転異常の場合でも、より迅速なポンプ保護(停止)を可能にするトリップクラスを備えています。これにより、モータ焼損のリスクが低減します。標準のオーバーロード・リレーと比較すると、MP204には、時間の経過とともに変化する水中モータの温度監視機能が備わっています。温度監視機能は、メンテナンスの実施間隔を決定する際にも利用できます。

MP204、グルンドフォスの水中モータ、内蔵のTempcon MS4000/6000 センサーを組み合わせて使用することによって、ケーブルを追加しなくても水中モータの温度を監視できます。これは、温度信号を水中モータからMP204に送信する電源ケーブルを使用できるからです。それでは、このモジュールについてまとめてみましょう。

1. モータ電流、過電圧/低電圧、モータ温度の3つが、最適なモータ保護を確保するための重要なパラメータです。

2. モータ保護レベルは、安定したモータ温度を決めた直後の、最初の数日間の運転で設定する必要があります。

3. グルンドフォスのMP204モータ保護装置は、モータ保護の機能を発揮するだけでなく、モータ温度の監視にも役立ちます。

コース概要

モジュール
モジュール: 3
完了時間
完了時間: 25 分
難易度
難易度: 上級